[NBA]デンバー・ナゲッツ2020-2021シーズン後半戦に向けて

  • 2021.03.16
  • NBA
[NBA]デンバー・ナゲッツ2020-2021シーズン後半戦に向けて

■ 前半戦の状況

ナゲッツは21勝15敗、ウエスト6位で前半戦を終了した。昨シーズン、カンファレンスファイナルまで進めたチームとしては、物足りない成績だろう。ただ、新型コロナウイルスの関係で今シーズンのオフ期間は例年に比べるとかなり短くなっており十分な休養期間を得られなかったことや補強が十分ではなかったことを踏まえると妥当な成績かもしれない。実際、開幕後最初の5戦でわずか1勝しか挙げることできず、苦しい展開が予想された。その後は1月に5連勝することもあったが、概ね予想通り勝ったり負けたりの展開が続いた。その中でも大黒柱のヨキッチは、キャリア最高のスタッツを残しており、シーズン平均トリプルダブルも達成する勢いでチームを牽引する。しかし逆に言えば、ヨキッチだけが目立ち周りの選手が上手く機能していないことも意味するため、個人的にはやや複雑だ。

そして、ようやく状況が好転し始めたのは、2月20日のキャバリアーズ戦からだった。2月15日のレイカーズ戦でそれまで先発PFを務めていたベテランのポール・ミルサップがケガで途中退場、そして2月20日のキャバリアーズ戦で代わりに先発していたジャマイカル・グリーンも指を負傷し途中退場してしまった。そして2月24日のブレイザーズ戦以降、先発PFを担ったのはそれまでSFで起用されていた2年目のマイケル・ポーター・ジュニア(以下MPJ)だった。そして前半戦終了となるオールスターブレイクまでの6戦でチームは、5勝1敗で上位のチームにも勝利するなど予想外の善戦をすることができた。PFで先発するようになってから、MPJはチームでの存在感が増し攻撃でも、守備でも活き活きとプレーしている姿が印象的だ。MPJ自身も現地のインタビューで「ようやく自分の役割を見つけた。」と回答をしており、PFでの起用にかなりの手応えを感じているようだ。

こうして後半戦に繋がる良い形で前半戦を終えることはできたが、全体的にはやはり不安定さが残ってしまう。

その要因として、ディフェンスやリバウンドの不安定さやヨキッチ以外に安定して点数の取れるスコアラーの不在などが挙げられるだろう。また、今シーズンはどのチームもケガ人や安全衛生プロトコルによる欠場で戦力が十分に揃わない状況が目立つ。その中でも主力を上手く休ませながら危なげなく戦えている上位チームもある。一方、ナゲッツは主力のヨキッチとマレーはほぼ全試合出場(ヨキッチは全試合出場)しており、主力メンバーを全く休ませることができていない。そうした全体的な層の薄さも苦戦している要因の一つだと感じる。ただ、徐々にディフェンスも含めマレー、MPJの調子が上がってきたことやカンパッソやグリーンなどの新加入選手がチームにフィットしてきたことは後半に向けて明るい材料となるだろう。特にカンパッソは数字には決して残らない部分でもチームに貢献でき、チームにエナジーを与える重要な役割を担いつつある点は注目だ。

■ 後半戦の注目ポイント

既に後半戦は始まっているが、個人的な後半戦向けての注目ポイントは大きく分けて3つ

① 日本時間3月26日のトレード期限までに補強は行われるのかするとすればどこ?

前半戦の戦い振りを見れば、オフの補強は不十分であったと認めざるを得ない。ナゲッツは今後、現在のヨキッチ、マレー体制で優勝を目指していくはずだ。そのために上位に食い込んでいくには、補強は最優先事項と言っていいだろう。起用法が定まらずなかなかチームにフィットしなかったMPJもトレードの視野に入っていたと思うが、PFで起用して以降、今後の成長も大きく見込まれ始めたため、MPJを絡めた大きなトレードはないだろうと予想する。今までナゲッツの最大の補強ポイントはヨキッチ、マレーに次ぐ第3の選手だった。しかしMPJに将来性を感じ始めたことによって、その3選手の周りを固めるロールプレイヤーの補強が優先されることになるはずだ。個人的に考える補強ポイントは、インサイドプレーヤーの獲得とウイングの層を厚くすることだ。特にヨキッチの控えもできるインサイドプレーヤーの獲得は必須だろう。現在の控えセンターはハーテンシュタインとボルの2人だが、彼らはまだ若くローテーション外となっている。実際にヨキッチが休んでるときに試合に多く出ているのは、ミルサップやグリーンの方が目立つ。ミルサップやグリーンの本来のポジションはPFであり一気にサイズダウンとなってしまう。対戦相手によってはリバウンドやディフェンスで不利になってしまい、一気に流れが悪くなってしまう可能性も出てくる。更にエースのヨキッチがケガ等で離脱してしまった時のことも考え即戦力のセンター獲得は最優先と言ってもいい。その次にウイングの選手だ。シーズン序盤と比べてマレーやMPJが安定してきたことを考えれば2人が休んでいる時間帯にも安定して得点できる選手(ディフェンス力もあるとなお良い)を補強することは、チームの層に厚みをもたらせてくれるはすだ。できればジェレミーグラントの穴埋めとMPJを4番で起用することも考慮して3番もできる選手が望ましいだろう。ナゲッツは若手が多く、この体制で優勝を目指すのならば若手を絡めたトレードはどうしても必要になってくるだろう。3月26日までに動きはあるのか注目したい。

② マローンHCのフォワード陣の起用法

当初は、SFにMPJ、PFにミルサップをスタメンに起用することが多かった。しかし、上述した通りPFにMPJを起用し、控えにルーキーのジーク・ナジが出るようになって以降、チームの調子は上向きだ。

その大きな理由はディフェンスの面にあるだろう。もともとオフェンスのポテンシャルはかなり高かったMPJ、ディフェンスが弱点と言われ続けてきた。しかしそれは自分よりも小さいウイングの選手を守ることが多かったからだ。MPJはサイズもあり、ブロックのタイミングも良くリバウンドの意識もそれなりに高かったことから、自分より小さいウイングの選手を守るよりもゴール付近のディフェンスの方がMPJの良さが活きやすいと言っていいだろう。まだまだチームディフェンスや細かい部分は改善の余地があるが、PFで出て以降、対人ディフェンス力は向上している。恐らくこのディフェンスのやりやすさがPFで起用したときの高いパフォーマンスに繋がっている。ミルサップは確かに良い選手だが、既に36歳で波が激しく衰えは隠せない。スタートで出るにはやはり物足りない。経験を活かしてベンチからチームを助ける役割の方がミルサップの良さが活かせるはずだ。マローンHCは現地のとあるインタビューでスタメンについて、「選手として試合の勝敗が決まる終盤に出ている方がスタートで出るよりもよっぽど重要だ。」とスタートで誰が出るかはそこまで重要視していない。それもその通りであるが、やはりスタートで出る以上は、一定以上の安定したパフォーマンスを出せる選手を前提とすべきだと感じる。グリーンも徐々にチームフィットし始め、ルーキーのナジも短い出場の中でしっかりとチームに貢献しポテンシャルをを見せ始めている。どのポジションにも言えるが、HCにとってそういった部分も上手く見極めることは、選手の可能性を潰さないためにも重要な役割の1つだろう。今後ミルサップ、グリーンの復帰以降、マローンHCがどのようにフォワードの選手起用していくかも一つ注目したい。

③ MPJの成長で自前ビッグ3形成なるか

MPJの話ばかりで申し訳ないが、ナゲッツは2015年以降、ヨキッチ、マレーの成長で優勝も目指せるチームへと変わってきた。そこにMPJが加われば、自前ビッグ3の形成となり非常に魅力的なチームへと変貌を遂げる。正直、MPJはケガがちのイメージが強く、昨年ルーキーシーズンのプレーを見ても良い選手になりそうだな、くらいでそこまで期待するほどの存在ではなかった。しかし、2年目の今シーズン、ここまでの成長を見れば、どうしても期待せざるを得なくなっている。スタッツも昨シーズンの平均16.4分の出場で9.3得点、4.7リバウンドから今シーズンはここまで平均28.6分の出場で15.1得点、7.1リバウンドと順調に伸ばしている。スリーポイント成功率は昨シーズンから40%を超えるのも注目だ。出場時間が平均で30分を超えてくれば平均20得点以上取ることも可能だろう。スタッツだけでなく、苦しい展開の中でMPJが活躍し勝利した試合も今シーズンはいくつもある。しかし、MPJはまだ2年目。徐々にチームから信頼を得ているが起用法から見てもナゲッツはまだ彼の役割を探っているような感じも否めない。チームから本当の信頼を得られるかどうか後半戦のMPJのプレーはとても重要だ。それによってはトレード候補に挙がる可能性もあるだろう。どちらにせよナゲッツとって、MPJは今後を左右するとても大きな存在であることには変わらない。

既に2020-2021シーズンも後半戦に突入している。これからプレーオフは争いが熾烈化し順位の激しい入れ替わりも予想されるが、ナゲッツの選手達がどのようなプレーを魅せてくれるか注目して応援していきたい。