[NBA]デンバー・ナゲッツの快進撃 2019-2020

  • 2020.10.30
  • NBA
[NBA]デンバー・ナゲッツの快進撃 2019-2020

2019-2020シーズンのNBAは、ロサンゼルス・レイカーズの10年振り、17度目(最多タイ)の優勝で幕を閉じた。

そんなNBA優勝チームを決める今年のプレーオフで何度もミラクルを起こしたデンバー・ナゲッツに驚いた人もかなり多いはずです。個人的に今のナゲッツには2016年から注目し始めました。理由はシンプルでこのチームは強くなると感じたからでした。今後優勝できるかはまた別ですが、今回はそんなデンバー・ナゲッツの最近の強さについて書いていきたいと思います。

■ デンバー・ナゲッツの歴史

まずは簡単なナゲッツの歴史から。

ナゲッツは1967年にコロラド州デンバーを本拠地にデンバー・ロケッツとして創設され、1976年までABA(1967年から1976までの間アメリカに存在したNBAとは別のプロバスケットリーグ)に加盟していた。NBAに正式に加入したのは1976年からだった。現在のデンバー・ナゲッツという名称に変更したのは、1974年で金塊を意味する単語nuggetから取られている。当時すでにNBAにヒューストン・ロケッツという同じチーム名があり、NBA加入を見据えての変更だったのかもしれない。

ナゲッツはABA時代を通して、現在まで優勝は0回、ファイナル進出もABA時代の1度のみと決して強豪チームとは言えない中堅どころのチームだ。

1980年代はアレックス・イングリッシュやキキ・バンダウェイを中心に1981年から毎年プレーオフに進出してはいたが、プレーオフではなかなか勝ち上がることができなかった。

1990年代に入るとチームは低迷。ディケンベ・ムトンボを中心にチームを作っていくが、プレーオフに進出したのは1993-1994、1994-1995の2度のみだ。1994年のプレーオフこそ、当時第1シードのシアトル・スーパーソニックスを破るという番狂わせを演じて見せたが、その後も1990年代後半から2003年までチームは低迷していく。

そして、ナゲッツは2003年のドラフト3位でカーメロ・アンソニー(現ポートランド・トレイルブレイザーズ所属)を指名。ルーキーからチームのエースとなったカーメロは、2004年いきなりチームをプレーオフ出場に導く大活躍。以後チームは毎年プレーオフに出場。2008-2009には、リーグ屈指のポイントガードだったチャウンシー・ビラップスをトレードで獲得しカンファレンス・ファイナルまで駒を進めた。

結局、優勝まで辿り着けなかったナゲッツは、2011年、長年チームを牽引してきたカーメロをトレードする決断した。その後は代わりにニックスからトレードで獲得した、ダニーロ・ガリナリ(オクラホマシティ・サンダー所属)や若手だったタイ・ローソン、アンドレ・イグダーラ(現マイアミ・ヒート所属)を中心に2013年までプレーオフに出場し続けた。特に2012-2013シーズンは球団記録となる57勝を記録するも1回戦敗退と厳しい結果に終わってしまうことになる。

そして本格的に再編期に入ったナゲッツは、2013年にドラフトでギャリー・ハリス、2014年にニコラ・ヨキッチ、2016年にはジャマール・マレーを指名したことによってナゲッツは新たな時代に突入していくこととなった。

■ ナゲッツの新たなる救世主

2013-14シーズンから再びプレーオフを逃すことになるナゲッツは、2015年からニコラ・ヨキッチを中心にチームを作っていくことを決断した。

更にナゲッツは2016年ドラフトで全体7位で、ポイントガードのジャマール・マレーを指名。前年ナゲッツは同じポジションのエマニュエル・ムディエイ(現ユタ・ジャズ所属)を指名している。それにも関わらずマレー指名したということは、当時からナゲッツフロント陣は彼のポテンシャルを信じていたはずだ。2年目以降、スターターを勝ち取ったマレーは、年々チームの中心選手として成長してきた。一方で度々言動が問題になることも多く、マレーのことを良く思っていないファンも多い。それもあってかマレーはまだ過小評価されている選手の1人である。ただ、チームからはしっかり信用を獲得し2019年オフシーズン、ナゲッツはマレーと5年MAX契約で契約延長した。その時はMAX契約には値しないのではないかと声が多くあったが、個人的には将来の投資も含め全く思わなかった。ちなみに冒頭で私がナゲッツが強くなると予想したのは、まぎれもなくこの選手の加入からだった。

■ ジャマール・マレーの特徴①

そんなマレーはルーキーイヤーこそムディエイの控えだったが、試合に出たときのチームに与える雰囲気やメンタリティーは明らかにムディエイとは違っていた。マレーは自らも高い確率でシュートを決めることできる選手だが、彼の一番の武器は、オフボールの動きにあるだろう。パスを味方にさばいたあとの動き出すタイミングやスペースの見つけ方、スクリーンの使い方が非常に上手だ。それによって周りの選手も連動され、ボールが良く回ることになる。さらにパスセンス抜群のポイントセンター、ヨキッチがいることにより更に人とボールに連動性が生まれる。一見、ナゲッツはヨキッチの異次元のパスセンスが目立ちがちだが、しっかりとマレー がゲームメイクした上で成り立つものだ。それらが上手く噛み合ったときナゲッツは強さを発揮する。マレー自身の平均スタッツは得点、アシストともに実はそこまで高くない。スタッツに残すというよりチームの潤滑油的な存在といえるだろう。

■ ジャマール・マレーの特徴②

また、マレーは強いメンタリティーを持っているのも魅力の1つだ。マレーは幼いころからバスケ一筋であり、毎日父親の厳しい練習に耐えてきた。チームが苦しくなるとその強靭なメンタルを活かしたクラッチプレーで自ら得点を奪いにいき、チームを勝利に導くこともできる。特に今年のプレーオフは得点源の1人であるウィル・バートンがケガで離脱した影響もあり、チームは何度も窮地に陥ったがその度にマレーが高得点を連発しチームを救ったのは記憶に新しいところ。まさに圧巻のパフォーマンスだったと言える。チームが苦しいときにも得点奪うことができる理想的なポイントガードだ。そんなマレーは若干23歳とまだ若くこれからの成長が楽しみで仕方ない。

2019-2020 ジャマール・マレープレー集

■ ナゲッツの将来

ヨキッチ、マレーが加入して以降、チームは年々成績が上がっている。チームが久しぶりに進出した2019年プレーオフ、ヨキッチ、マレーも初めてのプレーオフでカンファレンスファイナルまであと一歩のところまで迫った。その時のマレーのプレータイムは30分前後とそこまで多くはなかった。たらればになるが、もしマレーが今年のプレーオフと同じくらいの40分近くのプレータイムを貰えていれば、カンファレンスファイナルでウォリアーズと戦っていたのは、ブレイザーズではなくナゲッツだったかもしれない。

話しは逸れたが、来シーズンもウエストはレイカーズ、クリッパーズ、そしてカリー、トンプソンの復帰するウォリアーズ、ドンチッチ率いるマーベリックスなど今シーズン以上に激戦となることが予想される。ただ、ナゲッツの未来は明るい。中心選手のヨキッチは25歳、マレー23歳とまだ若く、2人以外にもマイケル・ポーター・ジュニアやボル・ボルなど若くてポテンシャルの秘めた若手がいる。彼らが順調に育ち、新しく加入してくる選手達も含めケミストリーを構築していくことができば、2020年代、ナゲッツがチャンピオンリングを手にする日が来るかもしれない。